(巻九)物なくて軽き袂や更衣(高浜虚子)

11月16日月曜日

5時前に目覚めたが、同室の同病者(彼も同じ内視鏡手術を私の後に受けるようである。昨日彼の主治医が簡単に手術の内容と期待される結果について説明していた。私の主治医は顔さえ出さない!彼の手術に比べれば、私の石たちは、頑固ではあるが、壊しやすいところに居るようだ。)に気を使い、電気を点けずにおとなしくしていた。

5時45分に起きて、トイレに行く。今回は下剤・浣腸がないので、やや気分が軽い。

細君は今回も病院に来ない。柏に買い物に行くつもりだったようだが、少なくとも午前中は電話器の側に居てくれるようにお願いした。
これは、昨日、看護師さんから、「御家族は手術中は病院で待機されますか?」と訊かれ、
「細君も病弱なので、来られません。」と答えたところ、
看護師さんから
「万一、御家族からの同意が必要な場合もあるので必ず電話に出られるようにしてください。」と言い渡されたためです。

ほかに看護師からは
「9時からの手術ですから、6時ころから点滴を始めます。」と気合いを入れられたが、6時45分になっても、看護師さんは現れないなあ。


遺書をしたためておこう。

細君へ:「全部もってけ、泥棒!」
息子へ:「母さんが使い残してくれたら、やるよ!」
亀有の義兄御夫婦へ:「私の使い残しですが、形見代わりに細君からお渡しするものをお納めください。」

これから、手術室に向かいます。