2023-01-01から1ヶ月間の記事一覧

「刑務所は現代の実験室である - 加賀乙彦」犯罪ノート から

「刑務所は現代の実験室である - 加賀乙彦」犯罪ノート から精神医になりたての頃、私は東京拘置所の医官になった。将来自分で犯罪学をやろうとはっきりとした見通しを持っていたわけではない。ただ刑務所や囚人というものに興味はいだいていた。いっぱしの…

(巻三十五)問ひだして問におぼるる晩夏かな(仲村青彦)

(巻三十五)問ひだして問におぼるる晩夏かな(仲村青彦) 1月12日木曜日 今日の午後血圧の検診に行くので、朝食後のあと過去5週間の週間平均値を叩いた。気温が下がったせいか、寝酒のせいか血圧は上昇してきた。まっ、ご相談だ。 血圧の上がる寒さとなりに…

(巻三十五)厄介な素数なりけり西瓜切る(大矢恒彦)

(巻三十五)厄介な素数なりけり西瓜切る(大矢恒彦) 1月11日水曜日 北側の窓のそばは特に寒いと思う朝だ。 北向の窓広くしてなほ寒し(拙句) と捻り顔本に載せた。判る人には判る名句で、判る人からはすぐに“いいね”が来たが、判る人は少ない。 朝家事は洗濯…

「透析拒否 - 団鬼六」自伝エッセイ-死んでたまるか から

「透析拒否 - 団鬼六」自伝エッセイ-死んでたまるか から「団鬼六、透析拒否」の見出しで、夕刊フジの一面に私の顔がデカデカと派手に載せられたときは、自分でも驚きました。また、その新聞記事を見た私の仲間たちからお悔やみともお見舞いともつかぬ電話が…

(巻三十五)永き日やあくびうつして分れ行く(夏目漱石)

(巻三十五)永き日やあくびうつして分れ行く(夏目漱石) 1月10日火曜日 風の音が聞こえてくる朝だ。細君はコレステロールで通院を予定していたが腹痛で取り止めることにしたそうだ。その腹痛の遠因が私のエアコン消し忘れにあるとグチグチと文句を云われた…

「ネコ - 三木卓」猫のエッセイ珠玉の35選 から

「ネコ - 三木卓」猫のエッセイ珠玉の35選 から芦名から左に相模湾を見ながら葉山の方へ北上していくとき、バスの窓から首をのばしてつい様子をうかがってしまうところがある。バスの停留所でいうと峰山というところがあるが、そこはすぐその前の道路沿い…

(巻三十五)雪の降る町といふ唄ありし忘れたり(安住敦)

(巻三十五)雪の降る町といふ唄ありし忘れたり(安住敦) 1月9日月曜日 穏やかな朝である。春の陽気になるらしい。 朝家事は特になし。毛布を干す。 生協に買い物に行き往路復路でトイちゃんにスナックをあげた。その復路でトイちゃんと遊んでいるところに猫…

「中くらいの妻 - 井口泰子」93年版ベスト・エッセイ集 から

「中くらいの妻 - 井口泰子」93年版ベスト・エッセイ集 から私の夫は、何でも「中」が好きである。上、中、下とあるうちの、中、である。彼の母親が、常々「中庸をいくということは大事なことです」というのに感化されたものらしい。ただ姑は「中庸というの…

(巻三十五)公園の枯葉のためのベンチかな(鈴木貴念子)

(巻三十五)公園の枯葉のためのベンチかな(鈴木貴念子) 1月8日日曜日 駄句を捻り始めた平成二十六年の暮れに、 考えて今宵の鍋を定めけり と捻った。今朝、寝床の中で、ふと、“考えて”を“吟味して”にした方がよいのではないかと浮かんだ。句帳を赤ペンで“吟…

(巻三十五)仕留めたる蚊の血の濃さよ吾若し(芳海たくみ)

(巻三十五)仕留めたる蚊の血の濃さよ吾若し(芳海たくみ) 1月7日土曜日 曇り空の朝である。朝家事は拭き掃除だけで、毛布干しは致さず。 喋りたい喋りたいの細君は妹に電話して“うさ”を晴らしていたようだ。その結果も喋りたい喋りたいの細君が喋る喋る。い…

「関西人の真骨頂 - 藤本統紀子」エッセイ’97待ち遠しい春 から

「関西人の真骨頂 - 藤本統紀子」エッセイ’97待ち遠しい春 からある時、テレビ番組を見ていて、なるほどと改めて思い当たることがあった。関西弁を喋る人は、やたら擬音が多い、というのだ。「奥さん、お宅のお好み焼きの作り方、教えてくれませんか」とレ…

(巻三十五)優柔を冷蔵庫にも叱らるる(森田豊久)

(巻三十五)優柔を冷蔵庫にも叱らるる(森田豊久) 1月6日金曜日 小寒といはれて少し寒きかな(拙句) と駄句を捻った。そんな朝で晴れている。 朝家事は特にございませんでした。自分の納豆ほかを買いに生協に行きまして、ついでに郵便局に寄り葉書を3枚買い…

「仁義なき闘い - 林望」03年版ベスト・エッセイ集 から

「仁義なき闘い - 林望」03年版ベスト・エッセイ集 から親友に恋人を紹介したら、その親友に恋人を取られてしまったとか、妹の恋人を姉が奪ったとか、そういうことをよく聞く。そのような場合、人は、その奪った方の人を指して悪人呼ばわりすることが珍しく…

(巻三十五)判決の軽きを怒る残暑かな(竹内柳影)

(巻三十五)判決の軽きを怒る残暑かな(竹内柳影) 1月5日木曜日 それほど厳しい寒さではない。そんな朝です。朝晩30分ずつエアコンをつけていますが、血圧測定のために暖房つけるという実に情けない理由なのです。寝起きに寒い自室で測ると160くらいまで上…

「ぼくはホシだった - 久世光彦(演出家)」03年版ベスト・エッセイ集 から

「ぼくはホシだった - 久世光彦(演出家)」03年版ベスト・エッセイ集 から〈ぼくはホシだった〉というと、サン・デグジュペリの有名な童話や、川上弘美さんのこころ優しい短篇を想う人もあろうが、実はそうではない。もう二十何年も昔になるが、寒い冬のある…

(巻三十五)夜店の灯得体の知れぬもの旨き(神野志季三江)

(巻三十五)夜店の灯得体の知れぬもの旨き(神野志季三江) 1月4日水曜日 晴れ、朝立す‼冷え込みも緩んだ朝だ。 朝家事は拭き掃除。その後雑貨を買いにウエルシアに行く。年も改まったのでとメモ帳も買ったが、古いのもまだ十数ページ残っているので使い切っ…

「消しゴムのよしあしは消しカスの量で決まる - 柴門ふみ」ちくま文庫書斎の宇宙 から

「消しゴムのよしあしは消しカスの量で決まる - 柴門ふみ」ちくま文庫書斎の宇宙 から漫画家というものが、どのくらい消しゴムを消耗するかというと、私の場合、だいたい一作品で一個、である。一学期間に二個買えば間に合った小学校時代に比べ、それは破格…

(巻三十五)この世では邪魔な知・情・意いわし雲(望月哲土)

(巻三十五)この世では邪魔な知・情・意いわし雲(望月哲土) 1月3日火曜日 穏やかな朝で冷え込みも緩んだように感じる。 朝家事は特になく、毛布を干しただけ。細君の買い残しを買いに生協に行く。売り初めで混んでいた。わが家もそうだが備蓄も三日分くらい…

「俳人の文章Ⅰ - 鴨下信一」忘れられた名文たち から

「俳人の文章Ⅰ - 鴨下信一」忘れられた名文たち から司馬遼太郎さんによると、現代口語文の成立に一番寄与しているのは正岡子規の散文だという。こうやってさまざまな文章をあさってゆくと、我々がいま書き慣れ読み慣れている標準的な日本語の口語文体を作り…

(巻三十五)早ばやと重ね布団や露の宿(瀬川みよ子)

(巻三十五)早ばやと重ね布団や露の宿(瀬川みよ子) 1月2日月曜日 色夢でもなく、どちらかと云えば軽い夢だったのようで5時半までよく眠れた。 朝家事は掃除機がけ、洗濯、毛布干し。昼は雑煮を頂く。餅の焼き方や箸の使い方など小うるさいので、“うるさい‼…

(巻三十五)世中に老の来る日や初しぐれ(許六)

(巻三十五)世中に老の来る日や初しぐれ(許六) 1月1日日曜日 目の覚めるところで覚めてお元日(鷹羽狩行) 穏やかに晴れた元日の朝です。 初警句は、 Everything is temporary. Emotions, thoughts, people and scenery. Do not get attached, just flow with…

「シャカリキ-あとがきにかえて - 玄侑宗久」新潮新書釈迦に説法から

「シャカリキ-あとがきにかえて - 玄侑宗久」新潮新書釈迦に説法から「自」然の「分」身が「自分」だということは、あちこちで書いたような気がする。だとすれば、自然を理解することがとりもなおさず自分を解ることに繋がるわけだが、これがどうにも難しい。…

謹賀新年