2020-06-01から1ヶ月間の記事一覧

「糟糠の妻 - 駒田信二」文春文庫 中国故事はなしの話 から

「糟糠の妻 - 駒田信二」文春文庫 中国故事はなしの話 から 「糟糠の妻」の「糟」とは、米のかす。「糠」とは、ぬかのこと。「糟糠」とは米のかすやぬかのような粗末な食べ物のこと。「糟糠の妻」とは、そういう粗末な物を分けあって艱難をともにしてきた妻…

(巻二十六)熱燗や討入り下りた者同士(川崎展宏)

(巻二十六)熱燗や討入り下りた者同士(川崎展宏) 6月18日木曜日 細君は朝一番で生協へ出かけ、その戻りと交代で散歩に出かけた。 南に歩いてコンビニで珈琲をいただき一本に火をつけた。一本で十分であります。 そこから図書館に歩き、写真の一冊を借りた…

『墨汁一滴 - 正岡子規』文春文庫 教科書でおぼえた名文 から

『墨汁一滴 - 正岡子規』文春文庫 教科書でおぼえた名文 から人の希望は初め漠然として大きく後[のち]漸[ようや]く小さく確実になるならひなり。我病床に於ける希望は初めより極めて小さく、遠く歩行[ある]き得ずともよし、庭の内だに歩行き得ばとい…

(巻二十六)裏読みの裏は正面月天心(能城壇)

(巻二十六)裏読みの裏は正面月天心(能城壇) 6月17日水曜日 細君のお供をして駅前へ買い物に出かけた。買い物は玄関マット、台所マット、魔法瓶で他に下着なども買ったようだ。 外食はせずにサンドウィッチなど買って帰り紅茶で頂いた。 サンドウィッチに…

「プライドの守り方 - 土屋賢二」文春文庫 無理難題が多すぎる から

「プライドの守り方 - 土屋賢二」文春文庫 無理難題が多すぎる から男はみんなプライドが高い。プライドを支えているのは、自分はそんじょそこらの男ではない、特別な男だ、という信念である。だが「お前のどこが特別なのか」と聞かれると、多少でも特別そ…

(巻二十六)とろろ汁人生訓を少し垂れ(高橋健文)

(巻二十六)とろろ汁人生訓を少し垂れ(高橋健文) 6月16日火曜日 雑事: “水遣り三年”とか云うそうだが、確かに難しい。ミカンの鉢に水を遣っているが多すぎたようでえのき茸のようなものがニュルッと出てきた。 散歩と買物: 手を抜けばかうなる見本蚯蚓の…

「超特急 - 吉田健一」中公文庫 汽車旅の酒 から

「超特急 - 吉田健一」中公文庫 汽車旅の酒 からどこかへ行く場合、そこに早く行ければ行ける程いい、とは限らないが、目的がただそこへ行くことだけにあるならば、確かにそこに着くまでの時間がなるべく短い方がいいので、理想は、そこに行きたいと思った…

(巻二十六)桃買つて予報通りの雨に遭う(松井国夫)

(巻二十六)桃買つて予報通りの雨に遭う(松井国夫) 6月15日月曜日 家事: 30度を超える炎天になるとのことでシーツ、枕カバー、タオルケットの洗濯となりました。 エアコンを試運転した。 料理: 肉豆腐を覚えろと云われてやってみた。これは趣味ではな…

3/3「活字の中の落語家たち - 江國滋」旺文社文庫 落語美学 から

3/3「活字の中の落語家たち - 江國滋」旺文社文庫 落語美学 から「文楽の落語は、小説の味である。話の筋もさることながら、登場人物をそれぞれに生かさないと気がすまない。この男はこんな奴でございます。この女はこんな女でございますと、話の端々で性格…

(巻二十六)炎天下イヤホーンに聞く甲子園(住田征夫)

(巻二十六)炎天下イヤホーンに聞く甲子園(住田征夫)6月14日日曜日BBC: https://www.bbc.co.uk/programmes/p02pc9tn/episodes/downloadsThe food delivery revolution6 Minute English Takeaway apps are changing food culture. We talk about it and te…

2/3「活字の中の落語家たち - 江國滋」旺文社文庫 落語美学 から

2/3「活字の中の落語家たち - 江國滋」旺文社文庫 落語美学 から小さん、馬楽の味わいは、現代のわれわれにも何となく想像ができるような気がする。わからないのは円喬である。「円喬は名人だったと思う。志賀直哉さんも、一生の間に感心した芸人が七人いる…

(巻二十六)さみだるる他なし漢の独言癖(松下健)

(巻二十六)さみだるる他なし漢の独言癖(松下健) 6月13日土曜日 梅雨入りをしたとか? 雨粒の窓をはしるや梅雨に入る(辻桃子) 家事 洗濯と掃除でありました。 部屋着も外着もTシャツとなり洗濯物が増える。洗濯は三日おきから二日おきになったが、天気がわ…

1/3「活字の中の落語家たち - 江國滋」旺文社文庫 落語美学 から

1/3「活字の中の落語家たち - 江國滋」旺文社文庫 落語美学 から「小さんは天才である。あんな芸術家は滅多に出るものぢゃない。何時でも聞けると思ふから安っぽい感じがして甚だ気の毒だ。実は彼と時を同じうして生きてゐる我々は大変な仕合わせである。今…

(巻二十六)泉汲むや胸を離れし首飾(猪俣千代子)

(巻二十六)泉汲むや胸を離れし首飾(猪俣千代子) 6月12日金曜日 世事 住民税の決定通知を受け取りました。「納められることを幸せに思わなくては。」と細君が申す。 散歩と買い物 本日も午前中に散歩し三千六百歩でした。 梅の実が落ちておりました。 青梅…

「愛の暴走族 - 穂村弘」ちくま文庫 とっておき名短篇 から

「愛の暴走族 - 穂村弘」ちくま文庫 とっておき名短篇 から何人かで夜ごはんを食べているときに、今まででいちばんこわかったことは何か、という話になった。地震、泥棒、金縛り、海外での盲腸手術、恋人とベッドにいるときにお父さんが入ってきたことなど…

(巻二十六)枝豆を口に正論聞流す(高橋悦子)

(巻二十六)枝豆を口に正論聞流す(高橋悦子) 6月11日木曜日 予約した『せどり男爵数奇譚-梶山季之(ちくま文庫)』が貸出出来ると 8時半前に図書館からメールが入った。 図書館の予約システムを覚えるために試し借り入力をしたが、その時手元にあった出久…

「即吟の名手 - 安住敦」文春文庫 巻頭随筆2 から

「即吟の名手 - 安住敦」文春文庫 巻頭随筆2 から 久保田万太郎は生前、俳句は自分にとって余技にすぎない、の一本槍で押し通してしまった。だが、そのいわゆる余技俳句は、この作家の遺した小説や戯曲に比べて、よりすぐれていたとはあえていうまい、少な…

(巻二十六)七掛けで生きし人生亀鳴けり(松本夜誌夫)

(巻二十六)七掛けで生きし人生亀鳴けり(松本夜誌夫) 6月10日水曜日 今日から巻二十六に入りました。ここいら辺りまで来れば後の長短はどうでもよい話です。上手に果てることが最優先でございます。 願い事-叶えてください。 本日は二千七百歩。

「人生は苦しみと絶望の連続である - 五木寛之」幻冬舎文庫 大河の一滴 から

「人生は苦しみと絶望の連続である - 五木寛之」幻冬舎文庫 大河の一滴 からこう考えてみると、どんな人にも人生のふっとしたおりに「心が萎[な]える」という状態が必ずあるものなのだ。しかし、考えてみると、そこには人生に対する無意識の甘えがあるよ…

(巻二十五)立読抜盗句歌集

(巻二十五)立読抜盗句歌集 臨終の一と声「ああ」枯世界(池禎章) 春宵や故人ばかりの映画観る(山戸暁子) 春日傘ひそかに杖とたのみけり(吉田正男) 善悪の玉の浮世の狸汁(上村占魚) しぐるるや堀江の茶屋に客ひとり(芥川龍之介) 一葉忌舞妓の通ふ英語塾(荒井書…

(巻二十五)趣味だけが残った余生春来る(小川正純)

(巻二十五)趣味だけが残った余生春来る(小川正純) 6月9日火曜日 本日の句をもちまして巻二十五の読み切りでございます。 追って一挙掲載いたします。 巻二十五を書き留めていた頃は入院もあり“終わる”ことがかなり身近なことに思えた時期でした。 止まるこ…

「教訓的な話 - 村上春樹」新潮文庫 村上朝日堂の逆襲 から

「教訓的な話 - 村上春樹」新潮文庫 村上朝日堂の逆襲 から僕は教訓のある話というのが比較的好きである。といっても、これはなにも僕が教訓的な性格の人間であることを意味するわけではない。教訓というものの成り立ちがわりに好きだというだけの話である…

(巻二十五)待つとなき天変地異や握飯(三橋敏雄)

(巻二十五)待つとなき天変地異や握飯(三橋敏雄) 6月8日月曜日 鉢植えのミカンに花が咲き、花びらが落ちたあとには小さな小さな実が残っていた。その小さな小さな実がここまで大きくなった。今、十個ほどが葉に隠れるようにして成っている。一番大きいのが…

「諸井薫・選-永井荷風 - 諸井薫」早川文庫 私の選んだ文庫ベスト3 から

「諸井薫・選-永井荷風 - 諸井薫」早川文庫 私の選んだ文庫ベスト3 から ①荷風随筆集 上 日和下駄他16篇(岩波/野口冨士男編)②摘録 断腸亭日乗 上・下(岩波/磯田光一編)③ふらんす物語(新潮)大げさなようだが、私は〈散歩〉に対してある種の恐怖感を持…

(巻二十五)骨格も人格も曲げ老いの梅雨(伊佐利子)

(巻二十五)骨格も人格も曲げ老いの梅雨(伊佐利子) 6月7日日曜日 散歩と買い物 図書館から二丁目のさくら通り、そして生協へと歩き、そこで米二キロを買った。 生協では月に一日だけ使える5%割引券を使ったのだが、この券を出すタイミングが遅れてレジの…

「人情小説の条件 - 出久根達郎」文春文庫 朝茶と一冊 から

「人情小説の条件 - 出久根達郎」文春文庫 朝茶と一冊 から映画俳優や、舞台芸人さんの死亡記事を新聞で見た場合、後者の方が、私にはショックが大きい。ああ、あの姿をもう見ることができないのだな、あの声を聞けないのだな、と思う。俳優の場合は、ビデ…

(巻二十五)死ぬまでの一千万歩桜かな(橋本七尾子)

(巻二十五)死ぬまでの一千万歩桜かな(橋本七尾子) 6月6日土曜日 細君と共に息子の奨学金の保証人になってくれていた義弟宅を訪れ、完済を報告してお礼を申し上げた。 図書館で予約システムを覚えてみた。この地域図書館にある蔵書は貧しいがこの区の図書館…

「森林浴 - 藤沢周平」文春文庫 小説の周辺 から

「森林浴 - 藤沢周平」文春文庫 小説の周辺 から「森林浴というのは、身体にいいそうですよ」と家内が言う。私がおよそ健康というものに無関心で、どちらかといえば不健康なことばかりやっているので、家内は時どき私の健康にまで気を配らなければならない…

(巻二十五)長虫を見しが今年の一大事(岩下四十雀)

(巻二十五)長虫を見しが今年の一大事(岩下四十雀) 6月5日金曜日 更衣とした。短パンとTシャツを天袋から下ろしてタンスの詰め替えをした。 ついでにもう着なくなった物を廃棄した。 とにかく物を減らしておかなくては。 散歩と買い物 洗濯屋との往復、生協…

「夏の食いもの - 岡本綺堂」旺文社文庫 綺堂むかし語り から

「夏の食いもの - 岡本綺堂」旺文社文庫 綺堂むかし語り からひろく夏の食いものと云えば格別、それを食卓の上にのみ限る場合には、その範囲がよほど狭くなるようである。勿論、コールドビーフやハムサラダでビールを一杯飲むのもいい。日本流の洗肉[あら…