「茂吉と酒(齋藤茂吉氏のこと) - 齋藤茂太」中公文庫 「酒」と作家たち から

「茂吉と酒(齋藤茂吉氏のこと) - 齋藤茂太」中公文庫 「酒」と作家たち から父茂吉は死ぬ二年前のある日、私を枕もとに呼び、俺の仕事はもう終った、最悪の場合を考えていればよい、と言った。その頃、時々心臓発作を起こし、また左半身不全麻痺もあったか…

(巻二十五)正一合屋台に春を惜みけり(橋本栄治)

(巻二十五)正一合屋台に春を惜みけり(橋本栄治) 3月23日月曜日 朝方雨の残るなかを両国まで出かけた。 このお相撲の街に女子大があったのか?袴姿のお嬢さんたちがウヨウヨといらしゃった。 昼飯に一本付けようかと思ったが、どうも飲欲が湧かない。その…

「平成版聖なる結婚 - 原田ひ香[か]」文春文庫 09年版ベスト・エッセイ集 から

「平成版聖なる結婚 - 原田ひ香[か]」文春文庫 09年版ベスト・エッセイ集 から「紅茶、二百五十円なんですけど?」という男の声がして、私は原稿から顔を上げた。集中力がないので、毎日喫茶店でパソコンをひろげて原稿を書いている。私が行くような店…

(巻二十五)親方の親切に泣き夜なべかな(高浜年尾)

(巻二十五)親方の親切に泣き夜なべかな(高浜年尾) 3月22日日曜日 親分に面倒を見てもらっていた頃今日の句を書き留めたなあ。 細君が生協に買い物に行き、七枚入り三百五十円のマスクを迷ったうえで買ってきた。少しは出回り始めたのだろうか? マスクし…

「四十二の感動 - 出久根達郎」文春文庫 朝茶と一冊 から

「四十二の感動 - 出久根達郎」文春文庫 朝茶と一冊 から私が古本屋が好きで、いまだにやめずに続けているのは、本を売ることが好きだからである。本と名がつくものは、なんでも売ることができる。その自由さが好きだからである。敗戦前(もう五十年も前だ)…

(巻二十五)尾頭に分けて二人に足る秋刀魚(尾亀清四郎)

(巻二十五)尾頭に分けて二人に足る秋刀魚(尾亀清四郎) 3月21日土曜日 昨晩はFM葛飾の渡辺ミカさんの番組を聴きながら寝酒を致した。寝酒をすると寝付きはよいのだが、三時間から四時間後に目覚めてしまい、寝直しに苦労する。 やはり寝酒は止めよう。酒よ…

2/2「或る田舎町の魅力 - 吉田健一」中公文庫 汽車旅の酒 から

2/2「或る田舎町の魅力 - 吉田健一」中公文庫 汽車旅の酒 から児玉には宿屋は一つしかないが、これは田島旅館という。部屋は二、三十はある立派な旅館である。前の時は無理して日帰りにしたので、こんな旅館があることは知らなかった。三階建てで、三階の眺…

(巻二十五)復唱の英語かたまりとぶ夜学(大橋敦子)

(巻二十五)復唱の英語かたまりとぶ夜学(大橋敦子) 3月20日金曜日 (顔本) セヤップ84から御承認をいただきメンバーになりました。 キャシーさんとイマーさんから早速メッセージを頂きました。 しかしITの流行も変化が激しいようで管理者アンドリューから…

(巻二十五)穴まどひ今日が明日でもよい立場(佐伯虎杖)

(巻二十五)穴まどひ今日が明日でもよい立場(佐伯虎杖)3月19日木曜日(顔本)お二人様がご加入下さりました。都合22人。更にお一人加わり23人になりますた。投稿はなし。(散歩)今日は学校があったようで下校中の小学生を見掛けた。中学の卒業式も行われ…

1/2「或る田舎町の魅力 - 吉田健一」中公文庫 汽車旅の酒 から

1/2「或る田舎町の魅力 - 吉田健一」中公文庫 汽車旅の酒 から何の用事もなしに旅に出るのが本当の旅だと前にも書いたことがある。折角、用事がない旅に出掛けても、結局はひどく忙しい思いをさせて何にもならなくするのが名所旧跡である。極めて明快な一例…

3/3「続・読む - 開高健」角川文庫 白いページ2 から

3/3「続・読む - 開高健」角川文庫 白いページ2 から いつだったか、古本屋に、戦前に出版されたヒトラーの『我が闘争』か一冊あって、なにげなく頁を繰ってみたら、全頁ことごとくといってゆいほど赤鉛筆で線が引いてあったり、書きこみがしてあったりだ…

(巻二十五)木の匙に少し手強き氷菓かな(金子敦)

(巻二十五)木の匙に少し手強き氷菓かな(金子敦) 3月18日水曜日 家事は風呂場の排水口の掃除から始めた。続いてベランダの手摺に毛布掛けて干し、洗濯とこなした。洗濯や布団干しに絶好の天気である。 湯を落とす小さき渦の寒夜かな(村上鞆彦) 散歩日和で…

2/3「続・読む - 開高健」角川文庫 白いページ2 から

2/3「続・読む - 開高健」角川文庫 白いページ2 から本の“匂い”のことについて考えると、いつも、いったいあれはどこからくるのだろうかと、不思議な気がする。著者が全力投球している場合、その球が空を切って飛んだあとにのこる谺[こだま]のようなもの…

(巻二十五)楪(ゆずりは)や和菓子屋辞める決意して(町田敏子)

(巻二十五)楪(ゆずりは)や和菓子屋辞める決意して(町田敏子) 3月17日火曜日 雲は多いが穏やか朝であった。洗濯物をベランダに出してみた。散歩日和ではなかったが駅前まで歩き六千歩強であった。駅前は普段と変わらぬ人盛りでした。日高屋もマックも混ん…

1/3「続・読む - 開高健」角川文庫 白いページ2 から

1/3「続・読む - 開高健」角川文庫 白いページ2 から子供の頃のことをふりかえってみると、腺病質でなくなったとか、偏食癖がなくなったとか、どこでも寝られるようになったとか、夜中に一人でトイレにいけるようになったとか、いろいろな変化が数えられる…

(巻二十五)邪魔なれば暇出されたる枇杷の種(中原道夫)

(巻二十五)邪魔なれば暇出されたる枇杷の種(中原道夫) 3月16日月曜日 終日北風が吹きまくる。竜巻警報が出た地域もあったとの由-外出せず。洗濯をしたが外に出せず。 (俳壇) 細君が朝日俳壇を持ってきた。 己が死を己れが泣くや春の夢(宇津木玲華) とい…

「山への作法 - 今西錦司」旺文社文庫 山の随筆 から

「山への作法 - 今西錦司」旺文社文庫 山の随筆 から近ごろは山登りが盛んになってきた。いろいろな服装をして、いろいろな流儀で登る。山は同じであっても、ハイカーはハイキング・コースだと思って山へ登るし、またなにかしに山へ登らぬことには流行遅れ…

(巻二十五)大川の上げ潮時や鳳仙花(後藤章)

(巻二十五)大川の上げ潮時や鳳仙花(後藤章) 3月15日日曜日 (散歩) コンビニで珈琲を喫した。使ったお小遣いはそれだけ。 金、土、日で都合二百円の支出であるがこのムードがそうさせるのか? 通過するバスには乗客が一杯詰まっているので皆さん家に籠って…

2/2「ネス湖の生一本、グレン・モーランジー - 景山民夫」新潮文庫 今宵もウイスキー から

2/2「ネス湖の生一本、グレン・モーランジー - 景山民夫」新潮文庫 今宵もウイスキー からそこはバーというよりはパブに近い造りで、長いカウンターの途中に仕切りがあって、ホテルの宿泊客用と外来者用に区切られており、僕の入った泊り客用の方の広い窓か…

(巻二十五)白玉や無理に忘れることもなし(宇佐美ちえ子)

(巻二十五)白玉や無理に忘れることもなし(宇佐美ちえ子) 3月14日土曜日 積もりはしなかったが午後雪が降った。 春の雪ひとごとならず消えてゆく(久米正雄) (裏ハイ) 図書館で角川俳句が読めない。朝日俳壇では上品過ぎる。そこで裏ハイを覗いてみたが、今…

1/2「ネス湖の生一本、グレン・モーランジー - 景山民夫」新潮文庫 今宵もウイスキー から

1/2「ネス湖の生一本、グレン・モーランジー - 景山民夫」新潮文庫 今宵もウイスキー から長い長い直線の道が続いている。周囲は羊の放牧場で、ところどころに見える岩山の近くに、決ったように数頭の鼻先の黒い羊が群れて牧草を食べている。ほとんど車通り…

(巻二十五)足るを知るそう言われても青蛙(川辺幸一)

(巻二十五)足るを知るそう言われても青蛙(川辺幸一) 3月13日金曜日 (散歩) 散歩の途中で二軒ほどドラッグストアを覗いたがクリネックスが棚に残っていた。また、トレペーをぶら下げたおばさんも見かけた。 細君の試算だと三日で一ロールだという。ウオシ…

3/3「虫のいろいろ - 尾崎一雄」岩波文庫 暢気眼鏡・虫のいろいろ から

3/3「虫のいろいろ - 尾崎一雄」岩波文庫 暢気眼鏡・虫のいろいろ から神経痛やロイマチスの痛みは、あんまり揉[も]んではいけないのだそうだが、痛みがさほどでない時には、揉ませると、そのままおさまってしまうことが多いので、私はよく妻や長女に揉ま…

(巻二十五)詰め込むや茄子のはみ出る鍋の蓋(寺田寅彦)

(巻二十五)詰め込むや茄子のはみ出る鍋の蓋(寺田寅彦) 3月12日木曜日 今日の句は寺田寅彦だから書き留めたのだと思う。 『 「俳句における近代と反近代(一) - 外山慈比古」中公文庫 省略の文学 から その I・A・リチャーズの『実践批評』の方法を俳句に…

2/3「虫のいろいろ - 尾崎一雄」岩波文庫 暢気眼鏡・虫のいろいろ から

2/3「虫のいろいろ - 尾崎一雄」岩波文庫 暢気眼鏡・虫のいろいろ から私がこの世に生れたその時から、私と組んで二人三脚を続けてきた「死」という奴、たのんだわけでもないのに四十八年間、黙って私と一緒に歩いて来た死というもの、そいつの相貌が、この…

(巻二十五)三寒の風の残りし四温晴(山内山彦)

(巻二十五)三寒の風の残りし四温晴(山内山彦) 3月11日水曜日 久しぶりに朝まで目覚めることなく眠ることができた。ありがたい。 あたしなんかが悩んでも何にもならないことを体が少しずつ判ってきたのかな。 生協に出かけた細君がついでに花屋さんに寄り…

1/3「虫のいろいろ - 尾崎一雄」岩波文庫 暢気眼鏡・虫のいろいろ から

1/3「虫のいろいろ - 尾崎一雄」岩波文庫 暢気眼鏡・虫のいろいろ から晩秋のある日、陽ざしの明るい午後だったが、ラジオが洋楽をやり出すと間もなく、部屋の隅から一匹の蜘蛛が出て来て、壁面でおかしな挙動を始めたことがある。今、四年目に入っている私…

(巻二十五)本当は運のいいだけ目刺焼く(梅原昭男)

(巻二十五)本当は運のいいだけ目刺焼く(梅原昭男) 3月10日火曜日 三日分の洗濯を致した。洗濯物は細君が洗濯機に入れた。どういうわけか不都合なく仕上がってしまった。洗濯物の入れ方で機嫌が変わる洗濯機というのは困る。 納豆汁おのが機嫌をとれずをり…

「ビートたけし - 天野祐吉」ちくま文庫 バカだなア から

「ビートたけし - 天野祐吉」ちくま文庫 バカだなア から『広告批評』という雑誌を創刊して、十年近くになる。正直に言うと、こんなに続くとは思ってもいなかった。あと何年もつかも、はっきり言ってわからない。創刊号は、三千部くらいしか売れなかった。…

(巻二十五)栗鼠を呼ぶなんと貧しき英語にて(対馬康子)

(巻二十五)栗鼠を呼ぶなんと貧しき英語にて(対馬康子)三月九日月曜日この句は身に凍みる句であります。なかなか英語というものは使えるようになりません。惜春やRの舌の置きどころ(末兼友子)(細君)クリニックに検査結果を訊きに出かけた。混み合っていないと…