「幽霊の正体 - 団鬼六」講談社 快楽王団鬼六 から

「幽霊の正体 - 団鬼六」講談社 快楽王団鬼六 から 当時(昭和四十九年頃)、月に一度か二度ぐらい、幽霊見舞いという名目で、目黒の鬼プロ事務所に夜になってから遊びに来ていた渥美清は、近所の人達が引き上げたあと、ぽつりと私にいった。「こうして賑やか…

(巻二十七)意にかなう酒のありけり春の雨(宇多喜代子)

(巻二十七)意にかなう酒のありけり春の雨(宇多喜代子) 10月10日土曜日 午前中に部屋の掃除を致した。雨は降っているが、風はまだ無く うつくしや上から下へ秋の雨(上田信治) と今のところ穏やかに降っている。 土曜日昼前のラジオ俳句を聴いた。選者が西…

「新生『SMキング』(抜書) - 団鬼六」講談社 快楽王団鬼六 から

「新生『SMキング』(抜書) - 団鬼六」講談社 快楽王団鬼六 から『SMキング』が新生『SMキング』として発足したのは昭和四十七年(一九七二年)の暮れからであった。旧勢力の山岡、吉田、鈴木の三人を根こそぎ解雇した時は、これでいいのだろうか、と不…

(巻二十七)寒夜この人とこうしてここに居て(杉浦圭祐)

(巻二十七)寒夜この人とこうしてここに居て(杉浦圭祐) 10月9日金曜日 去年の19号のようなことはなさそうだが、台風が接近している。 明日は買い物には出られまいと細君は傘をさして生協へ出かけた。 細君が戻り、買い残した牛乳とか液体調味料とか料理…

「遺産と誤算 - 吉村萬壱」ベスト・エッセイ2011 から

「遺産と誤算 - 吉村萬壱」ベスト・エッセイ2011 から 大学四回生の夏に教員採用試験を受けたが、一般教養のない私は一次試験で落ちた。その時丁度一人暮らしの叔母がバイク事故に遭い、脳挫傷になった。母に「お前は不合格になって暇なんだから看病し…

(巻二十七)春の日や踊おのづの身のこなし(久保田万太郎)

(巻二十七)春の日や踊おのづの身のこなし(久保田万太郎) 10月8日木曜日 区役所が無料でインフルエンザの予防注射をしてくれる。今日の午後3時がその予約日時なので風雨ではあったが駅前クリニックに出かけた。 受付で問診票を提出したが、作成日と接種同…

「夢の話 - 小沼丹」エッセイ’ 91 から

「夢の話 - 小沼丹」エッセイ’ 91 から先夜、見馴れぬ夢を見た。夢はときどき見るが、この夜の夢はいつもの夢とは些か違ってゐた。場所もロンドンで、以前ロンドンに行ったとき何度か覗いたことのある酒場が出て来る。その酒場へ行くといつもみんなの真似…

(巻二十七)立ちさうでたたぬ茶箱さくら餅(丸井巴水)

(巻二十七)立ちさうでたたぬ茶箱さくら餅(丸井巴水) 10月7日水曜日 部屋着を短パン・ティシャツからチノパン・長袖シャツに更えた。 食事の時間が変わった。夕飯を病院食の如く五時半ころ食べていたが、これが七時半に繰り下がって、細君の入浴中に独りで…

「水洗の使えなくなる時 - 古井由吉」文春文庫 巻頭随筆4 から

「水洗の使えなくなる時 - 古井由吉」文春文庫 巻頭随筆4 からこれで十五年目、私は世田谷の馬事公苑近くの、マンションというものに住んでいる。現在、建物全体の、給湯管の交換工事がおこなわれている。おかげで一週間ばかり湯が出ないので、バスに乗っ…

(巻二十七)日時計に影できている月夜かな(鹿又英一)

(巻二十七)日時計に影できている月夜かな(鹿又英一) 10月6日火曜日 美容室から戻った細君のビッグニュースはコロナ絡みでありました。 美容師さん曰く、奥さんのバイト先の中華屋の料理人が羅ったので慌てそうだ。隔離して結果を待ったそうで、“白”判定が…

「臨3311に乗れ(城山三郎作)の解説 - 原口隆行」鉄道ジャーナル社 文学の中の鉄道 から

昭和二十年代の半ば - 。神戸の会社を辞めて、日本ツーリストというご大層な社名の、その実は東京・秋葉原のガード下にある小さな会社で面接を受けた京大出の青年高島が、採用と決まって荷物を取りに神戸に戻ると話したところ、「ちょうどいい。臨3311…

(巻二十七)秋暑し今も句作に指を折り(松井秋尚)

(巻二十七)秋暑し今も句作に指を折り(松井秋尚)10月5日月曜日敢えて申せば、扇風機を片付けた。各部屋に置いてあるので4台になる。羽根と網に埃が付着する。特に台所の扇風機は油が飛ぶので埃もコビリ着いている。この埃を腰を屈めて拭き取る仕事なので…

3/3「SMと米俵 - 鹿島茂」文春文庫 セーラー服とエッフェル塔 から

3/3「SMと米俵 - 鹿島茂」文春文庫 セーラー服とエッフェル塔 から[後記 本書が出て三年余りたった今年(二〇〇四年)の一月、オサダ・ゼミナールを主宰しておられる緊縛師の長田一美氏から次のような文面の手紙を受け取った。年末、テレビ朝日から縛りに…

(巻二十七)地球儀のいささか自転春の地震(原子公平)

(巻二十七)地球儀のいささか自転春の地震(原子公平) 10月4日日曜日 写真は昨日の帰り道、常磐緩行線上りの北小金付近です。下りの特急とスレ違うところです。 One day you’ll look back and realize that you worried too much about things that don't r…

2/3「SMと米俵 - 鹿島茂」文春文庫 セーラー服とエッフェル塔 から

2/3「SMと米俵 - 鹿島茂」文春文庫 セーラー服とエッフェル塔 からではあらためて問おう、欧米のSMと、日本のSMはいかなる精神の反映であるかと。欧米のSMは、何を参照対象にしているのか?これは非常にはっきりしている。Mは馬、Sは御者である。…

(巻二十七)福達磨値切り倒して大手締(定方英作)

(巻二十七)福達磨値切り倒して大手締(定方英作) 10月3日土曜日 半年ぶりに電車に乗った! 電車に乗って新柏の歯医者に参った。歯科はやはり馴染みのところがよい。 新柏の駅を降りて駅前に立派な樹があったことを思い出した。もしや、アレはクスノキでは…

1/3「SMと米俵 - 鹿島茂」文春文庫 セーラー服とエッフェル塔 から

1/3「SMと米俵 - 鹿島茂」文春文庫 セーラー服とエッフェル塔 から私の悪癖のひとつに、やたらと仮説を立てたがるというのがある。なにかを見たり聞いたりすると、それがどのような原因でどのような経路をたどってそうした状態に立ち至ったのか、自分に縁…

(巻二十七)恵方から方向音痴の妻が来る(斉田仁)

(巻二十七)恵方から方向音痴の妻が来る(斉田仁) 10月2日金曜日 敢えて申せば医者通いです。午前は泌尿器科で診察、午後は検診結果の説明でした。 午前は、半年たったので採血でした。薬で命を繋いでいるわけではないけれど医者通いというのは滅入る。酒は…

「九十一翁の呟き(抜書) - 南條範夫」文春文庫 01年版ベスト・エッセイ集 から

「九十一翁の呟き(抜書) - 南條範夫」文春文庫 01年版ベスト・エッセイ集 から九十年以上も生きてきたのだから、もういつ死んでもいいと思う。負惜しみではない。本当のところもう心残りするほどのものは無くなってしまっているのだ。この二、三年の間に…

(巻二十七)恋文の起承転転さくらんぼ(池田澄子)

(巻二十七)恋文の起承転転さくらんぼ(池田澄子) 10月1日木曜日 細君が腕時計の修理に柏のデパート出かけた。戻ってきて云うに、デパートは大変混んでいたそうだ。(よく聞いてみると食品売場だけの話だ) その時計と云うのは高級なものではない。小学五年生…

「裸体談義(前半抜書) - 永井荷風」中公文庫 葛飾土産 から

「裸体談義(前半抜書) - 永井荷風」中公文庫 葛飾土産 から 戦争後に流行しだしたものの中には、わたくしが曽て予想していなかったものが少くはない。殺人姦淫等の事件を、拙劣下賤な文字で主として記載する小新聞[こしんぶん]の流行、またジャズ舞踊の…

(巻二十七)面倒なことと相成るおでんかな(中村わさび)

(巻二十七)面倒なことと相成るおでんかな(中村わさび) 9月30日水曜日 敢えて挙げれば、ミカンの鉢を通路側からベランダに戻したことか。 真夏の照り返しは辛いだろうと裏に移したが、それが正解だったか分からない。 ベランダに戻り陽を浴びてミカンは悦…

「筆まかせ(書抜其の一) - 正岡子規 岩波文庫 筆まかせ から

「筆まかせ(書抜其の一) - 正岡子規 岩波文庫 筆まかせ から○東京へ初旅去年六月十四日余ははじめて東京新橋停車場につきぬ 人力にて日本橋浜町久松邸まで行くに銀座の裏を通りしかば、東京はこんなにきたなき処かと思へり やしきにつきて後川向への梅室と…

(巻二十七)世渡りが下手とのうわさきりぎりす(山本直一)

(巻二十七)世渡りが下手とのうわさきりぎりす(山本直一) 9月29日火曜日 敢えて挙げれば、ガス・ストーブの試運転をいたした。 敢えて挙げれば、生協の牛乳が欠品になっていた。台風の影響で原料の輸送が滞ったためと貼り紙が出ていた。明治の200mlの小…

「老いの恋愛と死(一休・良寛・一遍・円空-そして私) - 佐江衆一」文春文庫 95年版ベスト・エッセイ集 から

「老いの恋愛と死(一休・良寛・一遍・円空-そして私) - 佐江衆一」文春文庫 95年版ベスト・エッセイ集 から還暦を迎えたとたん、腰痛ばかりか老眼がすすんだと思い眼科医に診てもらうと、老人性白内障がはじまっているという。父も七十歳のころ白内障の…

(巻二十七)ゆく夏の腰の辺りに塗薬(鳴戸奈菜)

(巻二十七)ゆく夏の腰の辺りに塗薬(鳴戸奈菜)9月28日月曜日細君は金策に出掛けた。殆んどすべてのことを仕切っているので私が先に逝く想定しか考えられない。夫婦して先に逝く気の夕涼み(小原紫光 という句があるが、幸いなことに細君は先に逝く気はない…

「朝はあんパン - 坪内稔典」ベスト・エッセイ2011 から

「朝はあんパン - 坪内稔典」ベスト・エッセイ2011 から朝はあんパンと決めている。三十年くらい、朝食はあんパン一個か二個である。もちろん、いろいろ食べるのだが、最近はあんパン、チーズ、トマトジュース、ヨーグルト、くだものというメニューが多…

(巻二十七)肉マンを転んでつぶす二月かな(井川博年)

(巻二十七)肉マンを転んでつぶす二月かな(井川博年) 9月27日日曜日 散歩: 小高校コースを歩いた。亀青小学校正門前の路地にはまだ昭和の建物が幾つか残っている。70年以上続いたお煎餅屋さんが店仕舞いしたようだ。 閉店の貼紙三行走り梅雨(川崎益太郎…

3/3「雪の行路(抜書) - 竹島紀元」ちくま文庫 鉄道エッセイコレクション から

3/3「雪の行路(抜書) - 竹島紀元」ちくま文庫 鉄道エッセイコレクション から12時05分 - 倶知安発車。すぐ力行だ。スキーを肩に手を振る少女の真っ赤なセーター姿を、重連機関車の雪煙が一瞬にかき消してしまう。行く手は再び雪に閉ざされた孤独な世界…

(巻二十七)卓に組む十指もの言ふ夜の秋(岡本眸)

(巻二十七)卓に組む十指もの言ふ夜の秋(岡本眸) 9月26日土曜日 血圧の初診から2週間近く経ち薬も減ってきたので駅前クリニックに行った。夫婦して内科だ歯科だと日々どちらかが病院通いだ。 前回は空いていたが、今朝は9時到着ですでに20人程が待って…