2020-03-01から1ヶ月間の記事一覧

「山への作法 - 今西錦司」旺文社文庫 山の随筆 から

「山への作法 - 今西錦司」旺文社文庫 山の随筆 から近ごろは山登りが盛んになってきた。いろいろな服装をして、いろいろな流儀で登る。山は同じであっても、ハイカーはハイキング・コースだと思って山へ登るし、またなにかしに山へ登らぬことには流行遅れ…

(巻二十五)大川の上げ潮時や鳳仙花(後藤章)

(巻二十五)大川の上げ潮時や鳳仙花(後藤章) 3月15日日曜日 (散歩) コンビニで珈琲を喫した。使ったお小遣いはそれだけ。 金、土、日で都合二百円の支出であるがこのムードがそうさせるのか? 通過するバスには乗客が一杯詰まっているので皆さん家に籠って…

2/2「ネス湖の生一本、グレン・モーランジー - 景山民夫」新潮文庫 今宵もウイスキー から

2/2「ネス湖の生一本、グレン・モーランジー - 景山民夫」新潮文庫 今宵もウイスキー からそこはバーというよりはパブに近い造りで、長いカウンターの途中に仕切りがあって、ホテルの宿泊客用と外来者用に区切られており、僕の入った泊り客用の方の広い窓か…

(巻二十五)白玉や無理に忘れることもなし(宇佐美ちえ子)

(巻二十五)白玉や無理に忘れることもなし(宇佐美ちえ子) 3月14日土曜日 積もりはしなかったが午後雪が降った。 春の雪ひとごとならず消えてゆく(久米正雄) (裏ハイ) 図書館で角川俳句が読めない。朝日俳壇では上品過ぎる。そこで裏ハイを覗いてみたが、今…

1/2「ネス湖の生一本、グレン・モーランジー - 景山民夫」新潮文庫 今宵もウイスキー から

1/2「ネス湖の生一本、グレン・モーランジー - 景山民夫」新潮文庫 今宵もウイスキー から長い長い直線の道が続いている。周囲は羊の放牧場で、ところどころに見える岩山の近くに、決ったように数頭の鼻先の黒い羊が群れて牧草を食べている。ほとんど車通り…

(巻二十五)足るを知るそう言われても青蛙(川辺幸一)

(巻二十五)足るを知るそう言われても青蛙(川辺幸一) 3月13日金曜日 (散歩) 散歩の途中で二軒ほどドラッグストアを覗いたがクリネックスが棚に残っていた。また、トレペーをぶら下げたおばさんも見かけた。 細君の試算だと三日で一ロールだという。ウオシ…

3/3「虫のいろいろ - 尾崎一雄」岩波文庫 暢気眼鏡・虫のいろいろ から

3/3「虫のいろいろ - 尾崎一雄」岩波文庫 暢気眼鏡・虫のいろいろ から神経痛やロイマチスの痛みは、あんまり揉[も]んではいけないのだそうだが、痛みがさほどでない時には、揉ませると、そのままおさまってしまうことが多いので、私はよく妻や長女に揉ま…

(巻二十五)詰め込むや茄子のはみ出る鍋の蓋(寺田寅彦)

(巻二十五)詰め込むや茄子のはみ出る鍋の蓋(寺田寅彦) 3月12日木曜日 今日の句は寺田寅彦だから書き留めたのだと思う。 『 「俳句における近代と反近代(一) - 外山慈比古」中公文庫 省略の文学 から その I・A・リチャーズの『実践批評』の方法を俳句に…

2/3「虫のいろいろ - 尾崎一雄」岩波文庫 暢気眼鏡・虫のいろいろ から

2/3「虫のいろいろ - 尾崎一雄」岩波文庫 暢気眼鏡・虫のいろいろ から私がこの世に生れたその時から、私と組んで二人三脚を続けてきた「死」という奴、たのんだわけでもないのに四十八年間、黙って私と一緒に歩いて来た死というもの、そいつの相貌が、この…

(巻二十五)三寒の風の残りし四温晴(山内山彦)

(巻二十五)三寒の風の残りし四温晴(山内山彦) 3月11日水曜日 久しぶりに朝まで目覚めることなく眠ることができた。ありがたい。 あたしなんかが悩んでも何にもならないことを体が少しずつ判ってきたのかな。 生協に出かけた細君がついでに花屋さんに寄り…

1/3「虫のいろいろ - 尾崎一雄」岩波文庫 暢気眼鏡・虫のいろいろ から

1/3「虫のいろいろ - 尾崎一雄」岩波文庫 暢気眼鏡・虫のいろいろ から晩秋のある日、陽ざしの明るい午後だったが、ラジオが洋楽をやり出すと間もなく、部屋の隅から一匹の蜘蛛が出て来て、壁面でおかしな挙動を始めたことがある。今、四年目に入っている私…

(巻二十五)本当は運のいいだけ目刺焼く(梅原昭男)

(巻二十五)本当は運のいいだけ目刺焼く(梅原昭男) 3月10日火曜日 三日分の洗濯を致した。洗濯物は細君が洗濯機に入れた。どういうわけか不都合なく仕上がってしまった。洗濯物の入れ方で機嫌が変わる洗濯機というのは困る。 納豆汁おのが機嫌をとれずをり…

「ビートたけし - 天野祐吉」ちくま文庫 バカだなア から

「ビートたけし - 天野祐吉」ちくま文庫 バカだなア から『広告批評』という雑誌を創刊して、十年近くになる。正直に言うと、こんなに続くとは思ってもいなかった。あと何年もつかも、はっきり言ってわからない。創刊号は、三千部くらいしか売れなかった。…

(巻二十五)栗鼠を呼ぶなんと貧しき英語にて(対馬康子)

(巻二十五)栗鼠を呼ぶなんと貧しき英語にて(対馬康子)三月九日月曜日この句は身に凍みる句であります。なかなか英語というものは使えるようになりません。惜春やRの舌の置きどころ(末兼友子)(細君)クリニックに検査結果を訊きに出かけた。混み合っていないと…

4/4「アフリカ沖にマグロを追う - 北杜夫」中公文庫 どくとるマンボウ航海記 から

4/4「アフリカ沖にマグロを追う - 北杜夫」中公文庫 どくとるマンボウ航海記 から リスボンに向ってカナリア諸島の下にさしかかった頃、左舷におよそ百頭ほどのイルカの群が出現した。彼らはいつも船と平行して競走し、しばらくの間目を楽しませてくれる。…

(巻二十五)小春日や杖一本の旅ごころ(村越化石)

(巻二十五)小春日や杖一本の旅ごころ(村越化石) 三月八日日曜日 小雨の降る寒い日曜日であります。細君は生協へ出掛けたが、あたしは終日家に籠る。 (顔本) 南太平洋の方から参加申込みがあり、ご入会頂いた。南アジアの方が多いので少し平らになればと思う…

3/4「アフリカ沖にマグロを追う - 北杜夫」中公文庫 どくとるマンボウ航海記 から

3/4「アフリカ沖にマグロを追う - 北杜夫」中公文庫 どくとるマンボウ航海記 から カジキやサメにはときどきコバンイタダキが吸いついている。こいつの吸着力は実際大したもので、甲板にでも吸いつこうものなら大の男が引っぱってもビクともしない。コバン…

(巻二十五)気を張らぬ暮し好もし籠枕(松尾緑富)

(巻二十五)気を張らぬ暮し好もし籠枕(松尾緑富) 三月七日土曜日 今朝、洗濯機がグズグズ言った。終わりの14分前にC2というトラブル番号をピカピカさせて停止したのである。このC2のピカピカは去年の今頃から3回目ついた。不具合はいつもC2である。…

2/4「アフリカ沖にマグロを追う - 北杜夫」中公文庫 どくとるマンボウ航海記 から

2/4「アフリカ沖にマグロを追う - 北杜夫」中公文庫 どくとるマンボウ航海記 から 私たちはヴェルデ岬諸島の周囲からカナリア諸島にかけ十六回の漁をしたが、北の方にはビンチョウが多い。これは長い胸ビレを横にぴんとはったところが似ているところからト…

(巻二十五)如月の金の届きし書生かな(前田普羅)

(巻二十五)如月の金の届きし書生かな(前田普羅) 三月六日金曜日 前の会社の方から久しぶりに電話を頂く。浪々の身となれば、あの頃は大事にしてくれていたなあ~と思うのである。 (散歩) お花茶屋の職安まで歩いた。片道20分はかかる。途中で卒業式を終え…

1/4「アフリカ沖にマグロを追う - 北杜夫」中公文庫 どくとるマンボウ航海記 から

1/4「アフリカ沖にマグロを追う - 北杜夫」中公文庫 どくとるマンボウ航海記 から一九五九年の初日の出はちょうど北回帰線上で迎えた。ヴィリアシスネロスの沖合である。船はエンジンをとめて薄明の洋上に漂っている。やがて東の海上に朱色が流れると、見る…

(巻二十五)春愁と怠け心の分け難し(野坂紅羽)

(巻二十五)春愁と怠け心の分け難し(野坂紅羽) 三月五日木曜日 (顔本) グループへの応募が続いたが、どなたも既に百、二百、というグループに所属済みで友達千人超えのスレたのばかりです。 お断りすると共に、応募者への質問に「試作品を送ってくれますか?…

「シグレを待つ人 - 安岡章太郎」文春文庫 父の酒 から

「シグレを待つ人 - 安岡章太郎」文春文庫 父の酒 からいまは「旦那」という言葉は、ほとんど聞かれなくなった。温泉場などで、客引から呼びとめられる場合でも、旦那とはいわれないが、大抵は「社長」である。私の知っている範囲で、旦那と呼ばれるにふさ…

(巻二十五)渡鳥視るマネキンの無表情(曽我部東子)

(巻二十五)渡鳥視るマネキンの無表情(曽我部東子) 三月四日水曜日 パソコン・セキュリティ・サービスが定期検診をしてくれたようだ。いわゆるヤバいサイトには接触していていないので大丈夫だとは思うが、あたしには見えない、分からない世界である。以前は…

「サマーセット・モーム『雨』 - 村松友視」文春文庫 青春の一冊 から

「サマーセット・モーム『雨』 - 村松友視」文春文庫 青春の一冊 から青春時代と言われるような時期を、私はほとんど本を読まずにすごしてしまった。少しは本でも読めばいいのに.....親戚の叔母などのそんな言葉を遠くに聞きながら、ただ漠然たる時の流れに…

(巻二十五)夕ぐれに申し合せて蛙かな(文皮)

(巻二十五)夕ぐれに申し合せて蛙かな(文皮) 三月三日火曜日 (細君) 朝方、細君は医者に出かけたが、半日かかるところを一時間半ほどで帰ってきた。普段だと二十人くらいの患者が来るのだが、今朝は五人だけだったそうである。 いろんなことが浸透してきたの…

「私小説に逆らつて - 丸谷才一」集英社文庫 別れの挨拶 から

「私小説に逆らつて - 丸谷才一」集英社文庫 別れの挨拶 から文化勲章受章を祝ふ会での御礼の挨拶二〇一一年十二月一日帝国ホテル新聞によると、わたしの今回の授章理由のなかに、私小説反対の立場を貫き成果をあげた、みたいなことがあるさうです。これは…

(巻二十五)一葉忌舞妓の通ふ英語塾(荒井書子)

(巻二十五)一葉忌舞妓の通ふ英語塾(荒井書子) 三月二日月曜日 (顔本) アフリカの青年から参加申込みがあり、承認いたした。グループを公開からプライベートに変更した。 雪よりもつめたき雨にかはりけり(板倉ケンタ) (あたし) 氷雨降るなか、面接に行って参…

「3、男は不潔だが、しかし..... - 北原武夫」旺文社文庫 告白的男性論 から

「3、男は不潔だが、しかし..... - 北原武夫」旺文社文庫 告白的男性論 から性に目ざめるというのは、女性の肉体に心を惹かれるということであり、女性に憧れるというのは、女体の美しさに憧れることだというのだが、男性が持って生まれたどうしようもない…

(巻二十五)しぐるるや堀江の茶屋に客ひとり(芥川龍之介)

(巻二十五)しぐるるや堀江の茶屋に客ひとり(芥川龍之介) 三月一日日曜日 この気持告げる三月しまう三月(林家たい平) この句はよろしいですなあ~。 (顔本) One paragraph essay clubにマレーシアの方から参加申込みがありました。これでメンバーは18人にな…