2016-01-01から1年間の記事一覧

(巻十三)老成も若さも遠し梨をむく(深谷義紀)

11月18日金曜日 体調不良につき短文でござる。水曜日に三万歩ほど歩いたが尻の筋肉痛でござる。風邪も回復せずでござる。会社より細君の方が人使いが荒いので週末が心配でござる。

(巻十三)見張り鴨鳴けば百羽の羽音立つ(中島京子)

11月17日木曜日 昨日から兆候は現れていたが、どうも風邪をひいたようだ。熱はないが鼻水と涙が出て喉が痛い。薬屋に行って風邪薬を所望いたしたが、結構高いものだ。二千円もした。“千ベロ”と言う表現を坂崎重盛氏(幸之助の叔父)がよく使うが、2ベロも…

(巻十三)虫鳴いて裏町の闇やらかはらかし(楠本憲吉)

11月16日水曜日 明日からビッグサイトで工作機械の展示会「日本国際工作機械見本市」が開かれる。海外からの出展者もおり、保税扱いで展示される。 その保税扱いの外国工作機械の確認に税関の保税担当官がお越しになる。税関検査の立会いと言うことで我…

(巻十三)世の中はとてもかくても同じこと宮も藁屋もはてしなければ(蝉丸)

11月15日火曜日 そろそろトランプ以外の記事もあるかと英字紙を買ってみたが、トランプだらけであった。 ジョーカーの捨て時逸す夜長かな(田中悦子) だいたい、報道記事は読まない。科学技術的なことの解説記事や書評にエッセイ、それに英国を扱った世相…

(巻十三)映りたる顔のひらたき水の秋(森田征子)

11月14日月曜日 月曜日8時にはTBSラジオの竹中直人の対談番組をよく聴く。先週までは伊吹吾郎さんが出演していい話を聞かせてくれました。ところが今晩は太鼓持ちのような若い俳優が出てきた。若い俳優には気の毒な面もあった。何しろ竹中氏に目をか…

(巻十三)雨いるか雨いらぬかと遠き雷(赤澤皆子)

11月13日日曜日 日陰者が咲いた。 一句得るまでは動かじ石蕗の花(阿部みどり女) ズボンのボタンが取れた。そのままでも履けることは履けるがなんとなく締まりがよくない。細君に頼めば、「ボタン付けくらいできるようになってくれなくは困ります。」と言…

Passive voice, July 2nd 2016 P78 (受動態)

In partial defence of an unloved grammatical tool Pity the passive voice. No feature of the grammar of English has such a bad reputation. Style guides, including that of The Economist, as well as usage books like the celebrated American “E…

(巻十三)伸ぶるだけ首を伸ばして鳥帰る(柴田佐和子)

11月12日土曜日 エコノミスト誌の“綴り方”コラムに受身形擁護 論が掲載されていた。(エコノミスト誌の“綴り方”コラムは受身形擁護論を掲載していた。) 誰が行為者か曖昧になるという“文章読本”によく見られる批判に対しては情報の載せ方次第だとして例文…

(巻十三)ホウカン(漢字)の道化窶れやみづっぱな(太宰治)

11月11日金曜日 ドックはドット疲れる。特に胃のバリウム撮影はこれで最後に致したい。 この検査では多角的な胃のエックス線撮影をするために被写体を可動式撮影台に横たわらせる。増影剤にバリウムを飲むが、胃に満遍なく行き渡るように横たわった体を…

極楽に行く人 地獄に行く人 ー 水木しげる “解説ー三途の川を上手に渡るには” 横尾忠則

臨死体験をした人の報告書を読むと、きれいなお花畑が眼前に開けていたり、また川が流れていて向こう岸から知り合いの死者が呼び掛けてきたという臨死体験者に共通のビジョンが語られていることが多い。 でもこんなビジョンを見た人は必ずこの世に引き返して…

(巻十三)石拾ふことに始まる畠打ち(太田英友)

11月10日木曜日 明日ドックだと思うと鬱々とする。昨年も寿命が尽きているかのようなことを言われた。町医者は脅すような言い方はしない。特に老医師の年寄り患者への安心させるような話ぶりは仁術である。それが医学的に最良なのかは不確かだが、死を意…

(巻十三)耳も眼も歯も借り物の涼さよ(兼谷木実子)

11月9日水曜日 細君に同行し、貸金庫の整理に行った。ご担当の若い女性行員のそつのない対応に好感を持つ。細君と話を転がしながらてきぱきと処理していた。 貸金庫カードにかはる文化の日(関野寿子) 税関の金の密輸押収量が急激に増えているという報道を…

極楽に行く人 地獄に行く人 ー 水木しげる “はじめに”

はじめに この頃、どうも世間がギスギスしているような気がしてならない。ぼくの観察によれば、親や学校に教えられた世界だけがすべてだと思っている人が、多くなっているせいだ。自分の脳で判断して、賢く振る舞っているつもりだろうけど、そういう人は結局…

(巻十三)牛鍋や性懲りもなく人信じ(岡本眸)

11月8日火曜日 今朝は一段と冷えた。 空白を靴下ひっぱり埋めにけり(潤) 仲通りの葉を落としたあとの並木の枝にLED球が巻き付けられた。 幹に枝喰ひ入るごとく抱きあひそれより先はせずして別る(佐竹游) 豆電球とちがって点灯していないLED球は見方…

(巻十三)何番の出口を出ても秋の空(加藤かな文)

11月7日月曜日 今朝から長袖の保温下着とタイツを着用した。 軽薄短小を実感する物の一つが冬の下着である。駱駝の股引きの世代ではないが、それでも厚手のズボン下のお世話にはなった。何とかテックという代物はまず温かい。薄いことの効果は着膨れ感が…

(巻十三)これからは楽が一番更衣(三宅久美子)

11月6日日曜日 細君と義母の見舞いにホームへ行った。都合で早目の時間に訪問したが、ちょうど夜勤の介護士さんの引き継ぎ時間のようで個々の老人に状況をちゃんと引き継いでいるのが聞こえた。 父暮らすホームからくる請求に「コーヒー代」とありて平穏(…

(巻十三)黴の中言葉とすればもう古し(加藤しゅうとん)

11月5日土曜日 今日から巻十三です。年末年始から節分くらいまでかなぁ。 案外の実を結びけり庭みかん(潤) 四十代後半に今の家に移ったので20年近く住んでいる。僅かながら庭があったので息子の希望で蜜柑を植えた。果実などは元より期待していなかった…

(巻十二)立読抜盗句歌集

マネキンを下着で立たせ夏に入る(丸井巴水) 菜の花や月は東に日は西に(蕪村) 筍のまことに無骨な荷が着きぬ(山田弘子) 街角の風を売るなり風車(三好達治) 柿ひとつ空の遠きに堪えむとす(石坂洋次郎) 中吊りに求ム旅人夏休み(松枝真理子) 覗く目を逆に覗きし…

(巻十二)郭公なくや五月のあやめ草あやめも知らぬ戀もするかな

11月4日金曜日 巻十二も此にて完結となりました。続いて一挙掲載いたします。 今日はJRがぐたぐたに乱れ、帰りの電車も有楽町駅でホームボタンが押されて止まってしまった。幸い3分くらいで発車してくれたが、今度は遅れ挽回のためか爆走運転である。駅…

(巻十二)口下手で思ひのたけを文夜長(嶋田摩耶子)

11月3日木曜日 昨日は昼休みに神保町まで足を伸ばして古本祭を覗いてみた。新橋駅前の市と違い古本というよりは古書のようで出店の板に括られて並んでいる書でも結構な値がついている。 足袋の値に驚くことも現世(このよ)かな(尾崎迷堂) 文庫本で出会いが…

(巻十二)是がまあつひの栖か雪五尺(一茶)

11月2日水曜日 季節が変わったことを体はちゃんと受け止める。私の場合は水分の摂取量が変わる。内臓のこともあり昼間1リットル飲むようにしているが、春夏秋と特に強く意識せずとも飲めていた。だがここに来て帰り際にペットボトルに残っていることがあ…

(巻十二)ビヤガーデン話題貧しき男等よ(吉田耕史)

11月1日火曜日 朝、外回りが新橋で時間調整のため1分停まった。向かいの京浜東北線南行は2分間の調整停車とアナウンスされると、南行から外回りへどっと人が移った。朝の1分は斯様なまでに重い時間なのか。 いそぐ蟻なまける蟻とすれちがふ(吉田未灰) …

『福翁自伝』巻末「解題」小泉信三

『福翁自伝』が自伝文学の傑作であるということについては、すでに今日定論があるように見える。一つの語るに値する生涯が、自らその生涯を生きた、すぐれた語り手によって語られるという点で、ここに滅多にない条件が揃っている。福沢がそこに語るところは…

(巻十二)北窓を塞ぎ海との情隔つ(仙道房志)

10月31日月曜日 『福翁自伝』は読んだことにした。巻末にある小泉信三氏の「解題」を書写したのでご覧に供する。 明日か明後日、神田古本祭に出かけて特養まで連れていけるような文庫本を探すつもりであるが、それまでは水木しげる氏の『極楽に行く人地…

(巻十二)ずっしりと水の重さの梨をむく(永六輔)

10月29日土曜日 角川俳句11月号を捲っている。俳誌には勉強になることが多いし、投稿は楽しみしている。 ところが、句は素晴らしいのに選評がホンマかいなというのがある。今月は今井聖先生か、下請けに出された門人弟子かしらないがこんな調子である…

(巻十二)死地脱し忘るるを得ず年忘れ(紫微)

10月28日金曜日 昼休みを一時間ほど勝手に延長して新宿の都庁の無料展望台のレストランへ足を伸ばした。私のような下町場末っ子には東京の西半分は異国であり、これも旅である。 新宿の土に戻れぬ枯葉かな(金子文衛) 新宿駅西口から歩いたが、地下鉄大江…

(巻外我が青春記)マフラーの裏の小さき英国旗(太田うさぎ)

10月27日木曜日 『福翁自伝』を読み進めている。感臨丸同乗での訪米、訪欧使節随員としてのパリ滞在の辺りまで来た。漱石の『坊っちゃん』と『福翁自伝』が青春痛快物語やその手のテレビ・映画の原点なのか? 余にも“青春痛快小説”はある。墓碑代わりの…

(巻十二)煮蜆の一つ二つは口割らず(成田千空)

10月26日水曜日 週末に町内会費ほかの集金をする。大体どのご家庭も釣り銭の要らないように用意しておいてくれるのであるが、三十世帯の中には二三軒万札を切ってくる方もいる。 釣り銭を貯めて叶えん蟹の旅(鳥花月風) そこで少しは釣り銭を用意しておか…

(巻十二)尻さむし街は勝手にクリスマス(仙田洋子)

10月25日火曜日 朝晩はかなり涼しくなってきた。電気ビル裏でいただく“モーニングコーヒー”が冷えた体を温めてくれる。セットはハムチーズトースト、サラダに茹で玉子かヨーグルトが付き450円と大変リーズナブルである。茹で玉子には塩袋が付くが使わ…

「漱石紀行文集ー小品ー入社の辞 - 夏目漱石」

大学を辞して朝日新聞に這入ったら逢う人が皆驚いた顔をして居る。中には何故だと聞くものがある。大決断だと褒めるものがある。大学をやめて新聞屋になる事が左程に不思議な現象とは思わなかった。余が新聞屋として成功するかせぬかは固(もと)より疑問であ…