2020-08-01から1ヶ月間の記事一覧

「無限の可能性 - 橋本幸士」ベスト・エッセイ2019  から

「無限の可能性 - 橋本幸士」ベスト・エッセイ2019 から「若い君たちには無限の可能性があります」なんて言い方は、私は絶対にしない。私のような物理学者は皆、恐らくそうであろうと思う。というのは、もしそんな言葉を理論物理学者の若者達にしようも…

(巻二十六)雲湧いて夏を引っ張る左腕なり(清水哲男)

(巻二十六) 雲湧いて夏を引っ張る左腕なり(清水哲男) 8月15日土曜日 今朝ベランダに出ると蝉と蛾の骸があった。 今年はいつもの年より蝉が多いのではないかと思うほどよく啼いている。その分、骸もそこいらに横たわっている。 空蝉のそばなる蝉のむくろか…

「舞台再訪-『点と線』 - 松本清張」清張・私のものの見方考え方 から

「舞台再訪-『点と線』 - 松本清張」清張・私のものの見方考え方 から 汚職事件と情死をヒントにひところ、汚職事件が起るたびに取調べ中の中央官庁の課長補佐クラスの人が自殺したことがあった。物置で首をくくったり、検察庁の三階の窓からとび降りたり…

(巻二十六)連敗の果ての一勝小鳥来る(甲斐よしあき)

(巻二十六)連敗の果ての一勝小鳥来る(甲斐よしあき) 8月14日金曜日 早めの盆休みを終わり、商売を始めたクリーニング屋へ毛布3枚を持ち込んだ。 10時過ぎのクリーニング屋の前の特定郵便局では局長さんが案内誘導ために店頭に立っていた。明日15日は…

「お金について教えてほしいこと - 蛭子能収[えびすよしかず]」河出書房新社 お金がない! から

「お金について教えてほしいこと - 蛭子能収[えびすよしかず]」河出書房新社 お金がない! から長い長い梅雨が終ったと思ったら、今度はカーッと暑い夏がやって来た。いや本当に暑い。しかし暑いのは太陽のせいばかりではなく、私の気持の中にもあるのだ…

(巻二十六)狐火や顔を隠さぬ殺人鬼(大澤鷹雪)

(巻二十六)狐火や顔を隠さぬ殺人鬼(大澤鷹雪) 8月13日木曜日 図書館への散歩の途中で立派な黒揚羽を見た。忙しく花を渡り蜜を吸っていた。 蝶々のもの食ふ音の静かさよ(高浜虚子) 図書館では角川俳句の8月号を閲覧室で捲ってみた。 閲覧室の机も3密回避…

「一〇〇〇回目の敗戦 - 加藤一二三」08年版ベスト・エッセイ集 から

「一〇〇〇回目の敗戦 - 加藤一二三」08年版ベスト・エッセイ集 から昭和二十九年、十四歳でプロ棋士(四段)となってから五十三年。八月二十二日に私が通算一〇〇〇回目の敗戦を喫したことはさまざまなメディアで報じられたが、その反響の大きさにわがこと…

(巻二十六)ふり向けば大年増なり雪礫(一茶)

(巻二十六)ふり向けば大年増なり雪礫(一茶) 8月12日水曜日 買い物で生協に入り、ついでに塩飴を買った。なめても塩っぱさをあまり感じない。体が塩を求めているのだろう。 百合咲きていまだ花粉をこぼさざる(細見綾子) 本日の一撮です。 本日は二千五百歩…

3/3「喜びは不安に由来する - 茂木健一郎」筑摩書房 今、ここからすべての場所へ から

3/3「喜びは不安に由来する - 茂木健一郎」筑摩書房 今、ここからすべての場所へ から 人間の脳は、人生がどうなるかわからないという「偶有性」に適応する中で発達していく。全く予想ができないというのではない。それでは、学習することがそもそもできな…

(巻二十六)春深し妻と愁ひを異にして(安住敦)

(巻二十六)春深し妻と愁ひを異にして(安住敦) 8月11日火曜日 エアコンは食事時と湯上がりであとは扇風機で過ごしている。 朱夏の陽の影の重たき投手かな(林桂) こんな日には散歩に出ることもないのだが、夕方ふらふらとコンビニへ行った。 本日は二千六百…

2/3「喜びは不安に由来する - 茂木健一郎」筑摩書房 今、ここからすべての場所へ から

2/3「喜びは不安に由来する - 茂木健一郎」筑摩書房 今、ここからすべての場所へ から 人間の場合、「果たして生きていけるか」という問いは、大自然との不断の格闘において生じるのではない。多くの場合、他者との関係性、社会の中における自分の位置づけ…

(巻二十六)野に遊びたるだけのこと誕生日(大橋敦子)

(巻二十六)野に遊びたるだけのこと誕生日(大橋敦子) 8月10日月曜日 土用干しのついでに何着かの背広を断捨離致した。定年前辺りから背広が嫌になり、よれた替え上着で済ませていたので十年くらい着ていなかった背広である。 船魂を抜たる船や土用あい(御…

1/3「喜びは不安に由来する - 茂木健一郎」筑摩書房 今、ここからすべての場所へ から

1/3「喜びは不安に由来する - 茂木健一郎」筑摩書房 今、ここからすべての場所へ から 夕暮れの街を歩いている時などに、ふと、理由のない不安の発作にかられることがある。日常の中で自分を規定している関係性や社会的な位置づけなどが解け、たった一人で…

(巻二十六)ふたたびは聞く心もてはたたがみ(稲畑汀子)

(巻二十六)ふたたびは聞く心もてはたたがみ(稲畑汀子) 8月9日日曜日 細君が天気予報を見ながら毛布カバー洗いを決断した。散歩のときにこの集合住宅の正面を見上げてみたが、他三軒ほどが洗濯したシーツや布団カバーと思われるものを干していた。 中身の毛…

2/2「偏奇館跡地を売り飛ばすこと - 半藤一利」ちくま文庫 荷風さんの戦後 から

2/2「偏奇館跡地を売り飛ばすこと - 半藤一利」ちくま文庫 荷風さんの戦後 からけれども、わが勝手な推理はちょっと違う。この地には大正九年五月二十三日に家を新築して移住してきた。いらい昭和二十年三月十日に空襲で焼け出されるまで、少なくとも荷風の…

(巻二十六)黒きまで紫深き葡萄かな(正岡子規)

(巻二十六)黒きまで紫深き葡萄かな(正岡子規) 8月8日土曜日 今日は熱中症警報はなく、Hコースを散歩した。葛飾野の野球部もサッカー部も、そして修徳のサッカークラブも活動していました。 本日は三千五百歩で階段二回でした。 読書: 『葛飾土産 - 永井…

1/2「偏奇館跡地を売り飛ばすこと - 半藤一利」ちくま文庫 荷風さんの戦後 から

1/2「偏奇館跡地を売り飛ばすこと - 半藤一利」ちくま文庫 荷風さんの戦後 から昭和二十三年春、新潟県長岡在から三年ぶりに東京へ戻ってきたわたくしは、さっそく浅草を毎日のように散策した。旧制高校のボート部に属し、隅田川でのお花見レガッタに出漕す…

(巻二十六)安楽死選ばずミモザを愛でしおり(モーレンカンプふゆこ)

(巻二十六)安楽死選ばずミモザを愛でしおり(モーレンカンプふゆこ) 8月7日金曜日 何もせず坐つておりて玉の汗(島木よし絵) 《 本日7日(金)は、東京都で熱中症の危険性が高くなると予報されており、環境省と気象庁から熱中症警戒アラートが発令されまし…

「死んだ親があとに遺[のこ]すもの(抜書) - 壇ふみ」新潮文庫 あのひと から

「死んだ親があとに遺[のこ]すもの(抜書) - 壇ふみ」新潮文庫 あのひと から写真がある。時は晩秋、ところは懐かしの「離れ」の前の庭である。危なっかしい足取りで、私が竹馬の稽古をしている。兄の助けを借りてやっとこさっとこ竹馬に乗ったところなの…

(巻二十六)朝顔や期待の色と違へども(柿坂伸子)

(巻二十六)朝顔や期待の色と違へども(柿坂伸子) 8月6日木曜日 散歩は夕方にした。風があったのでやや心地よし。 図書館からRコースを歩き三千二百歩階段二回でした。 図書館ではお願いしていた『麻布襍記、附自選荷風百句 - 永井荷風』(中公文庫)を借り…

「私の死論は「夫が先に死ぬ」」-斎藤茂太 日本の名随筆8 から

「私の死論は「夫が先に死ぬ」」-斎藤茂太 日本の名随筆8 から昨日まで人のことかと思ひしがおれが死ぬのかこれはたまらんなかなか面白く、味わいのある歌だ。これは蜀山人の辞世の歌らしい。「らしい」というのは、九大名誉教授の高橋義孝氏が著書の中で…

(巻二十六)秋暑し小名木運河のもやひ杭(福島壺春)

(巻二十六)秋暑し小名木運河のもやひ杭(福島壺春) 8月5日水曜日 駅の反対側の大病院に行った。歩いて二千五百歩くらいだが、朝九時前でも汗をかく。 大病院は空いていた。受け付けも待たず、検査も待たず、会計も待たずで半日仕事が30分で終った!大丈夫…

「喫茶店彷徨 - 別役実」光村図書 ベスト・エッセイ2010 から

「喫茶店彷徨 - 別役実」光村図書 ベスト・エッセイ2010 からカバンに原稿用紙と筆記具を入れて、昼ごろ「行ってまいります」と家を出る。これが私の日課である。若いころ六年ばかりサラリーマン生活をしたので、これをしないと仕事にかかる気がしない…

(巻二十六)予測みな当る淋しさ衣被(渕上千津)

(巻二十六)予測みな当る淋しさ衣被(渕上千津) 8月4日火曜日 蓮光寺さまの今月のお言葉でございます。 のどかさに今しばらくの迷い道(杉村克代) 煩悩や地平の月の暮れまどひ(三島ゆかり) 迷いと惑いはどうちがうのか判りませんが、合わせると迷惑ですから似…

「悲観しない病者 - 上林暁」日本の名随筆34 から

「悲観しない病者 - 上林暁」日本の名随筆34 から私は中風で、もう十一年寝ついている。六十歳になってから、一度も風呂に入らないし、一度も歩いたことがない。利くのは左手だけで、右手や両足は利かない。幸い頭が呆けていないので、作家としての渡世が…

(巻二十六)お絞りは熱きがよろし夏料理(水木夏子)

(巻二十六)お絞りは熱きがよろし夏料理(水木夏子)8月3日月曜日細君がお出掛けになり独りラジオなどを聞きながら借りてきた『面白半分随舌選』から半村良さんの「洋式と和式」を読んでいる。ラジオはFM葛飾にしてある。9時台は音楽を流すだけで余計なこと…

「散歩するあたり - 藤沢周平」文春文庫 周平独言 から

「散歩するあたり - 藤沢周平」文春文庫 周平独言 からよほど天気が悪くない限り、私は一日に一回は駅前まで出て行く。時には少し雨が降っていても傘をさして出かける。駅前に何があるかというと、別に大したものはない。喫茶店五軒、本屋二軒、パチンコ屋…

(巻二十六)舌のごと干蒲団垂れあいまい屋(清崎敏郎)

(巻二十六)舌のごと干蒲団垂れあいまい屋(清崎敏郎) 8月2日日曜日 細君が生協から戻った10時過ぎから散歩に出かけた。 まだ歩ける暑さだが無理をせずお寺と教会のRコースにしておいた。 教会を過ぎて二丁目のさくら通りに入ったが二千歩に足りない。ま…

「師匠、最期の一言「ハゲだっつうの、あいつ」 - 桂歌蔵」ベスト・エッセイ2019  から

「師匠、最期の一言「ハゲだっつうの、あいつ」 - 桂歌蔵」ベスト・エッセイ2019 から今月2日、師匠桂歌丸が満81歳で亡くなった。9、10日は家族、直弟子、近親者のみによる通夜と葬儀、そして11日は業界関係者、ファンも参列した告別式。すべて…

(巻二十六)鰡跳ねて潮の道ある旧運河(道川虹洋)

(巻二十六)鰡跳ねて潮の道ある旧運河(道川虹洋) 8月1日土曜日 梅雨が明けましておめでとうございます! 百日紅が満開でしたので一撮いたした。 道化師に晩年長し百日紅(仁平勝) 家事を済ませて10時過ぎから散歩に出たので、無理せずにHコースにしました…