2020-07-01から1ヶ月間の記事一覧

(巻二十六)いくたびも月にのけぞる踊りかな(加藤三七子)

(巻二十六)いくたびも月にのけぞる踊りかな(加藤三七子) 7月16日木曜日 都営団地の盆踊り大会は手作り感のある素晴らしい自治会盆踊りで例年今ごろだが、今のところ準備している様子はない。仕方がないか。 ミンミン蝉の初啼きを聞いた。 通帳に見入りて…

「悪が私を生かしてくれる - 中島義道」人生、しょせん気晴らし から

「悪が私を生かしてくれる - 中島義道」人生、しょせん気晴らし からじつは、私には「眠られぬ夜」というものがない。いつも床について五分とたたないうちに眠ってしまうのだから。私は生活のリズムとか規則を一切考慮していないので、リズムが乱れることは…

(巻二十六)双六の賽振り奥の細道へ(水原秋桜子)

(巻二十六)双六の賽振り奥の細道へ(水原秋桜子) 7月15日水曜日 ぐずついた天気ではあったが、散歩と買い物に出かけた。 先ずは予約しておいた図書『エッセイの贈り物4-岩波書店編集部編』を受け取る。 その後図書館→曳舟川→旧水戸佐倉街道→環七→二丁目…

「美女という災難 - 有馬稲子」08年版ベスト・エッセイ集 から

「美女という災難 - 有馬稲子」08年版ベスト・エッセイ集 から文藝春秋の二月号「昭和の美女」という特集に私の若い頃の写真がでました。二十三歳ころでしょうか。私自身の記憶の中から消えていた写真で、あらまあ、あなた元気だったのと、もう一人の自分…

(巻二十六)永久歯とは名ばかりや山笑ふ(安居正浩)

(巻二十六)永久歯とは名ばかりや山笑ふ(安居正浩) 7月14日火曜日 梅雨や熱中症注意ということで散歩の歩数が減っていたようだ。 昨日、久しぶりに五千歩を歩いたら疲れて快眠いたした。快眠はよいのだが、五千歩で疲れていては宜しからず。長生きをしたい…

3/3「敗荷落日 - 石川淳」岩波文庫 荷風追想 から

3/3「敗荷落日 - 石川淳」岩波文庫 荷風追想 から戦前の大金は戦後の小銭、むかしの逸民は今の窮民である。ぶらぶらあそんでくらす横町の隠居というものを、今日に考えることができるだろうか。ランティエということばは観念上にもすでにほろびて、そのこと…

(巻二十六)長閑さや知つた振りしてこの齢(白田哲三)

(巻二十六)長閑さや知つた振りしてこの齢(白田哲三)7月13日月曜日散歩:今日は買い物がないとのことなので、西(W)コースの探険に向かった。曳舟川を横切り西亀有に入り、農産高校の前を通って交通公園(上千葉砂原公園が正式名称らしい)を抜けた。ここま…

2/3「敗荷落日 - 石川淳」岩波文庫 荷風追想 から

2/3「敗荷落日 - 石川淳」岩波文庫 荷風追想 からしかるに、わたしが遠くから観測するところ、戦後の荷風はどうやら書を読むことを廃している。もとの偏奇館に蔵した書目はなになにであったか知らないが、その蔵書を焼かれたのち、荷風がふたたび本をあつめ…

(巻二十六)ほろ苦きものに箸ゆく遍路宿(坂本徹)

(巻二十六)ほろ苦きものに箸ゆく遍路宿(坂本徹) 7月12日日曜日 散歩と買い物: 各部屋の掃除を済ませ自分の洗濯物を外に干してから散歩と買い物に出かけた。 特に目を引くものはなかったが、葛飾野高校のフェンスに結ばれていた写真の毛虫注意が本日の気…

1/3「敗荷落日 - 石川淳」岩波文庫 荷風追想 から

1/3「敗荷落日 - 石川淳」岩波文庫 荷風追想 から一箇の老人が死んだ。通念上の詩人らしくもなく、小説家らしくもなく、一般に芸術的らしいと錯覚されるようなすべての雰囲気を絶ちきったところに、老人はただひとり、身辺に書きちらしの反故[ほご]もとど…

(巻二十六)他人事のやうに首振る扇風機(大和田アルミ)

(巻二十六)他人事のやうに首振る扇風機(大和田アルミ) 7月11日土曜日 散歩と買い物: 午前、細君が生協へ出かけ、戻ると交替で散歩と買い物に出かけた。 買い物は細君が買い残した“私にでも買える”品目である。それらは専ら私が消費するもので銘柄、数量…

「芥川賞の値段(抜書) - 出久根達郎」講談社 たとえばの楽しみ から

「芥川賞の値段(抜書) - 出久根達郎」講談社 たとえばの楽しみ から第二十六回は堀田義衛『廣場の孤獨』(十万円)、二十七回は該当なし、二十八回は昭和二十七年度だが、松本清張と五味康祐という芥川賞らしからぬ異色の作家が受賞する。松本の受賞作は、「…

(巻二十六)人柄が名所なりけりけふの月(加藤郁乎)

(巻二十六)人柄が名所なりけりけふの月(加藤郁乎) 7月10日金曜日 細君は歯医者に出かけた。昼は備蓄飯(備蓄赤飯と赤いきつね)とした。 毎日これでは嫌になるだろうが、カップ麺も時々食べるくらいなら悪くはない。日頃の薄味とはちがう非日常的な味に舌も…

「〈生活〉といううすのろがいなければ(後半) - 穂村弘」光文社 現実入門 から

「〈生活〉といううすのろがいなければ(後半) - 穂村弘」光文社 現実入門 から 私が生活とか人生とかいうものにもっとも近づいたのは、モデルルームをみに行ったあのときだった、と今にして思う。だが、私はそこから逃げ出した。そして元恋人が母親になって…

(巻二十六)炒めつけられて玉葱甘くなる(保坂リエ)

(巻二十六)炒めつけられて玉葱甘くなる(保坂リエ) 7月9日木曜日 図書館: 予約をお願いしていたうちの四冊が整ったとの連絡をいただいたので午前10時過ぎに伺った。 雨が落ちていないせいか来館者が多く、新聞・雑誌コーナーのソファ席は三密対策で間隔…

「犬と尊敬 - 田辺聖子」集英社 楽老抄 から

「犬と尊敬 - 田辺聖子」集英社 楽老抄 からちょっと前になるけど、飼い犬が死んだという投稿が、ある新聞の読者欄にあった。私は新聞の投稿欄の熱心な読者で、毎日新聞の「女の気持ち」なんか、長年愛読しておりますよ。ところでその飼い犬の話だが、投稿…

(巻二十六)干足袋の乾くまもなく盗られけり(森川曉水)

(巻二十六)干足袋の乾くまもなく盗られけり(森川曉水) 7月8日水曜日 散歩と買い物 風は強いが雨は落ちていない午前10時半に生協へ出かけた。通常の品に加えて期限切れ補充分の備蓄赤飯を2食仕入れた。賞味期限は11月末である。 戻ると、細君が備蓄品…

「餅を焼くこと - 永井龍男」ちくま文庫 あさめし・ひるめし・ばんめし から

「餅を焼くこと - 永井龍男」ちくま文庫 あさめし・ひるめし・ばんめし から餅を焼いて食うのは、そもそも関東ののし餅というものが、うまくないからだと教えて呉れた人がいる。出来合いの餅を一枚いくらで買ってくるような、下々[しもじも]の者が、さそ…

(巻二十六)蜂の巣を見つけ小声となりにけり(高倉和子)

(巻二十六)蜂の巣を見つけ小声となりにけり(高倉和子) 7月7日火曜日 天気が悪く外出せず。 洗濯物が乾かない。着る物が足りないわけではないが、困ったものだ。 だが、こんなことで文句を言っている場合ではない。 本日二百歩階段一回でした。 「ある有料…

2/2「退屈こそ人生最大の楽しみである - 池田清彦」新潮文庫 他人と深く関わらずに生きるには から

2/2「退屈こそ人生最大の楽しみである - 池田清彦」新潮文庫 他人と深く関わらずに生きるには からマイナーな楽しみでも、人づき合いが不可欠なものもある。たとえば、性的な関係というのは、その中身について当事者以外の介入を受けることはないという意味…

(巻二十六)次々とコンテナ列車下りゆくブルトレゆきしこの時間帯(武田軍治)

(巻二十六)次々とコンテナ列車下りゆくブルトレゆきしこの時間帯(武田軍治)7月6日月曜日読書:雨が瀟瀟と降っている。〈瀟瀟〉は今朝のような雨を形容するのか一応ネットで確めてみた。そして、荷風の『雨瀟瀟』を読んでみようと図書館システムに登録した…

1/2「退屈こそ人生最大の楽しみである - 池田清彦」新潮文庫 他人と深く関わらずに生きるには から

1/2「退屈こそ人生最大の楽しみである - 池田清彦」新潮文庫 他人と深く関わらずに生きるには からほとんどの動物は、食物を探して、セックスをして、子育てをしてやがて死ぬ。動物でも食うことやセックスをすることに快感を伴うことは予想できるが、それ以…

(巻二十六)常識にこだはらないで残る鴨(高橋将夫)

(巻二十六)常識にこだはらないで残る鴨(高橋将夫) 7月5日日曜日 散歩と買い物: 午前中の雨が降りだす前に出かけた。投票所への道は往来が多い。 上の階の明るい爺さんも奥さんとそちらへ向かっていた。奥さんが爺さんの後ろを静々と付いていく。 本日三千…

「肩に来た赤蜻蛉 - 山田風太郎」角川文庫 死言状 から

「肩に来た赤蜻蛉 - 山田風太郎」角川文庫 死言状 から別に目新しい説でもあるまいが、漱石についての雑感を二つ三つ。漱石の小説に背信をテーマとする恋愛小説が多いので、漱石の若いころ、何かそういう体験があったのではないか、という想像から、その核…

(巻二十六)双六の賽の禍福のまろぶかな(久保田万太郎)

(巻二十六)双六の賽の禍福のまろぶかな(久保田万太郎) 7月4日土曜日 義母の誕生日だそうで、花が飾られた。カーネーションだそうである。 世事: 細君が朝っぱらからニュース速報である。嫌なニュースを寝起きに叩き込まれるのは不愉快だが、力関係が変わ…

「好色と退屈(一部抜書) - 丸谷才一」集英社文庫 別れの挨拶 から

「好色と退屈(一部抜書) - 丸谷才一」集英社文庫 別れの挨拶 からここで私の言ふ随筆体小説とは、たとへば永井荷風『雨瀟瀟』『花火』のやうな、随筆と小説の中間のもの、あるいは随筆を装ふ小説、さらには小説めかした随筆を指す。こんな言ひ方はずいぶん…

(巻二十六)いまひとつ春野に足りぬ責任感(福本弘明)

(巻二十六)いまひとつ春野に足りぬ責任感(福本弘明) 7月3日金曜日 散歩と買い物 月初めなのでお寺の門前の御言葉を頂きに参りました。 境内の掲示板にも御言葉があるというので、拝見いたしました。 四十雀拝観料をとらぬ寺(麻香田みあい) 本日三千三百歩…

「借家と持家(後半) - 諸井薫」河出書房新社 男の節目 から

「借家と持家(後半) - 諸井薫」河出書房新社 男の節目 からそれはさておき、戦後日本は戦前の借家文化から、一気に持家文化に逆転した。焼跡から奇跡的な経済復興、朝鮮戦争特需をバネに高度成長が日本の産業を戦前以上の規模に巨大化させ、個々の企業の業…

(巻二十六)丸呑みのゴミ収集車萩の垣(出口民子)

(巻二十六)丸呑みのゴミ収集車萩の垣(出口民子) 7月2日木曜日 図書館に角川俳句5月号が戻っていたので貸していただいた。 赤貧の身にふりかかる桜かな(脇坂規良) を書き留めた。何だか毒のある句が減ってきたように感じる。 細君が外出し、 備蓄飯食べて…

2/2「不良老人の色気 ー 嵐山光三郎」退歩的文化人のススメ から

2/2「不良老人の色気 ー 嵐山光三郎」退歩的文化人のススメ から今回刊行された千萬子との往復書簡は、そういった谷崎の最後のラブレター集である。しかし、千萬子さんの写真を見ると、正直に言ってさほど美人ではないし、顔が角ばっていて(失礼ながら)ガニ…